肺炎は油断してはいけません
肺炎は、高齢者の死亡原因で上位にランクインする疾患の1つです。日本国内では死亡原因の第5位を占めています。 肺炎は、軽症の場合もありますが、症状が悪化すると生命に関わることもあります。 痰や咳の悪化、息切れ、発熱などの症状が現れた場合は、肺炎の可能性もあるため、早めに受診しましょう。
肺炎の症状
膿性の痰、止まらない咳、発熱などが現れます。 症状が重いと、血中の酸素飽和度が低下し、息苦しさが伴うことがあります。
胸膜まで炎症が及ぶと、痛みが生じることもあります。
肺炎の診断
問診や身体診察の結果、肺炎の可能性が考えられる場合には、胸部レントゲン検査を行います。細菌の種類を特定するため、喀痰検査を勧めることもあります。同時に血液検査も実施し、全身の状態や肺以外の臓器の状態、体内の炎症の程度などもチェックします。
肺炎発症時は、感染性微生物や外来物質から体を守る「白血球値の上昇」や体内で炎症反応や組織の破壊が起きているときに血液中に現れるたんぱく質である「CRP値の上昇」がみられます。当院では、採血後、数分で白血球数やCRP値を測定し、入院の必要性や重症度を迅速に判断することが可能ですので、お気軽にご相談ください。
入院管理が必要となる肺炎
肺炎の中には、外来治療では対応が難しく、入院による管理と治療が必要となる場合があります。全身状態が不安定な場合や、重症化のリスクが高い場合には、安全に治療を行うため入院治療が選択されます。
以下のような症状がみられる場合は、入院管理が必要となるケースがあります。
- 39度以上の高熱が続いている
- 安静時でも息苦しさが強い
- 呼吸が浅く早い、または会話が困難
- 胸痛が強く、呼吸時に悪化する
- 食事や水分摂取がほとんどできない
- 意識がもうろうとする、反応が鈍い
- 酸素投与が必要な状態
- 脱水や全身衰弱がみられる
- 基礎疾患が不安定な状態
- 高齢で自宅療養が困難
一方で、症状の程度だけでなく、年齢や基礎疾患、生活環境なども入院判断に大きく関わります。特に高齢の方や免疫力が低下している方では、急速に状態が悪化することもあるため、早期の入院管理が重要となります。入院下では点滴治療や酸素管理を行い、全身状態を安定させながら回復を図ります。
入院管理が必要と判断した場合は、速やかに連携する医療機関に紹介いたします。
外来で対応できる肺炎
肺炎は必ずしも入院治療が必要となる疾患ではなく、症状や全身状態によっては外来での治療が可能な場合もあります。
以下のような症状の場合、全身状態が安定していれば、外来での治療が可能となるケースがあります。
- 37〜38度台程度の発熱
- 咳、痰(黄色や白色の痰を伴うこともあります)
- 軽い息切れはあるが、安静時の呼吸が保たれている
- 胸の違和感や軽度の胸痛
- 全身倦怠感
- 食事や水分摂取が可能
- 意識がはっきりしている
- 酸素投与を必要としない
- 持病が安定している
- 日常生活が大きく制限されていない
一方で、高齢の方や基礎疾患をお持ちの方では、症状が軽く見えても短期間で悪化することがあります。そのため、医師による慎重な評価が欠かせません。誤嚥性肺炎など再発しやすいタイプの肺炎では、治療後も定期的な外来受診を行うことで、早期の異変発見につながります。
外来治療が可能かどうかは、年齢や基礎疾患、呼吸状態、検査結果、自宅での療養環境などを踏まえて総合的に判断します。症状の変化を感じた場合には、無理をせず早めにご相談ください。適切な時期に治療を受けることで、肺炎の重症化を防ぎ、早期回復が期待できます。
判断に迷う場合は
肺炎は進行速度に個人差があり、自己判断は危険です。息苦しさや体調悪化を感じた際は、早めに当院までご相談ください。
肺炎の重症度チェック
重症度を評価する際には、日本呼吸器学会の成人市中肺炎診療ガイドラインによる「A-DROP」が主に使用されます。これらの数値を考慮しつつ、治療方針を確定していきます。以下の5つのチェック項目によって重症度を判断し、入院が必要かどうか、外来治療が適しているかを決定していきます。
A-DROP
年齢(A:Age):女性75歳以上、男性70歳以上
脱水(D:Dehydration):脱水またはBUN≧21mg/dl
呼吸状態(R:Respiration):SpO2≦90%
見当識(O:Orientation):意識障害あり
血圧(P:Pressure):収縮期血圧≦90mmHg ショック
上記の項目のうち1つも該当しない場合は、基本的に外来治療が適しています。1〜2つ該当する場合は中等症と判断し、入院または外来治療を行います。3つ該当する場合は重症と見なし、入院治療が必要になります。
入院適応の判断においては、患者様1人ひとりのライフスタイルも重視いたします(例:高齢かつ独居の場合、介護が難しい場合など)。入院が適切かどうかを検討する際には、迅速に高度医療機関へのご案内をさせていただきます。
肺炎の治療
細菌性肺炎の疑いがある場合は、抗生物質が処方される可能性があります。抗生物質は点滴または経口薬で使用できますが、患者様の状態によって適切な方法が選択されます。例えば、血中酸素飽和度が低下するなど、全身状態が悪化する兆候が見られた場合は、素早く救急病院への受診をお勧めし、入院治療が行われる可能性があります。
